家の新築にあたって予算削減したいなーと思って、前回は吊り戸棚を作ったところだけど、材料がけっこう高くて予算削減にどれほど貢献できているかどうか正直わからなくなってきてる。
ただ作るは楽しいし自分のスキルもアップするからヨシ!ただし時間がめっちゃかかる。
趣味でもなければ間違いなくお金を払って作ってもらった方がラク。
今回はキッチンの引き出しカップボードを作る。
大工さんが作ってくれた枠に収まるように引き出しのカップボードを作っていく。
前回の吊り戸棚を作った記事はこちら↓
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引き戸の吊り戸棚を作ってみる【すべてを公開】
2024/11/1
自宅を新築中だけど、予算削減のためにキッチンのバックにつける吊り戸棚を減らした。 でも吊り戸棚はあった方が何かと便利だと思ったので、設計担当の方におそるおそる「自分で吊り戸棚とか作ったら設置しても ...
この吊り戸棚は個人的にはけっこうな大作だったし、大工さんたちも褒めてくれたので見てくれると嬉しい。
この記事ではカップボードの制作過程を綴っているが、細かいことは(めんどくさいので)省いている。引き出しの作り方や設計の考え方は別の記事にまとめてみようと思っているので記事ができたらそっちも見てくれると嬉しい。
設計
まずはカップボードの設計をする。
いつもどおりjwcadを使って設計していく。無料のCADソフトだけど使いやすいし、簡単な家具の設計程度ならちょっとネットで勉強すればすぐに使えるようになるのでぜひ使ってみて欲しい。
今回は大工さんが設置してくれた枠に合わせたカップボードを作る。
先に完成後の写真を出すとこんな感じになった。
最初はこの写真の右側のような感じで枠だけがあって空間がすっぽり空いてたんやけど、そこにちょうどハマるように引き出しを作った。
写真では左側だけに引き出しが入っているけど、最終的には右側の枠にも引き出しが入る予定にしている。
今回作る引き出しは4段で、枠より左右と上方向をそれぞれ2mmずつ小さくなるように設計した。
外枠を作る
溝掘り
引き出しを作る方が楽しいんだけどまずは外枠から作る。外枠は基本的にはただの四角い箱を作るだけなので、個人的にはあんまり面白くないっていうのが正直なところ。
まずはサイズ通りに板を切り出す。サイズも結構大きいしホームセンターのカットサービスを使って切ってもらった。できるだけ精度良く切ってもらえるようにお願いして切ってもらった。(でもすこーしだけ長く切られてしまった…)
まず最初に背板を入れる溝を彫る。
今回は背板に強度は必要ないので、5.5mm厚のベニヤ板を使うことにした。
背板を入れる溝はベニヤ板の厚さより少し大きい6mmの溝を掘るので、トリマーに6mmのエンドミルとストレートガイドをセットして一直線に溝を彫っていく。
ガイドから5mm離すようにエンドミルをセットする。
トリマーのストレートビットについては、普通のストレートビットを使うよりエンドミルを使った方が絶対に良い。
値段もそんなに高くないし、安物のストレートビットとは切れ味が段違いだ。ほんまにびっくりするぐらい切れる。
僕がよく買うのはトミーグローバルのエンドミルをよく使っている。
とりあえず6mmはよく使うので持っておいて損はないと思う。安物のストレートビットはいらねってなる。
金に糸目をつけないのであれば、大日商のビットはめちゃくちゃ切れるのでめっちゃ好き。(高いけど)
僕も奮発して大日商のビットをいくつか買ったけど、その切れ味に最初ほんまに感動した。お金に余裕があったら試してみて欲しい。
ストレートビットならまだギリギリ手を出しやすい値段だと思う。
トリマーにビットとストレートガイドをセットすればあとはトリマーを走らせば背板をはめるための溝が掘れる。
これを左右上下の4枚の板すべてにする。
枠をつくる
次は外枠を箱形に組み立てる。
今回はビスケットジョイントで組み立てることにした。
ビスケットジョイントがあれば板のはぎ合わせや今回の板の組み立てがめちゃくちゃラクなのであると便利。(でも結構高い)
マキタのバッテリーを持っているならけっこう安く導入できそう。
僕はマキタのバッテリーを持っていない(ハイコーキ派)のでコード式の並行輸入品を使っている。(正規輸入品より値段が安かったから…)並行輸入品でも問題なく使うことはできているし、トラブルとかは(今のところ)まったくない。
Makita ジョイントカッター(並行輸入品) - amazon
ビスケットジョイントがなければ、ボンドとビスで接合すれば良いと思う。
ジョイントカッターなら板同士を接合するための溝を簡単に掘ることができる。
このタイミングで一度仮組をしてみる。
仮組をしてみて問題なさそうならOK。
スライドレールの取り付け
仮組して問題なさそうなら、一度バラしてスライドレールの取り付けにかかる。
箱のままだとタダの箱でしかない。スライドレールをつけて初めて引き出しと呼べる代物になるのだ。
スライドレールを使えばマジでだれでも慎重にすれば簡単にスムーズな引き出しを作ることができる。たぶん熟練者が作った吊り桟とかよりもスムーズな引き出しを作ることができる。スライドレールすごい。
僕はいつもスガツネというメーカーのスライドレールの4518型か3618型を使っている。
4518型か3518型の違いは対荷重の違いなので、重いものを入れる大きめの引き出しなら4518型を選び、あまり重いものを入れない小さめの引き出しなら3518型を選べばまぁ失敗はない。
スライドレールについては、アマゾンより楽天市場の方がめちゃくちゃ安く買うことができる。
僕がいつも買っているのは楽天市場の「カネマサかなもの」さんで購入している。スライドレールを買ったら取り付けるためのビスもつけてくれる優しいお店だ。もちろんスライドレール自体も安いし、39ショップなので少しまとめて購入すれば送料も無料になる。
ベアリングタイプでスライドもめちゃくちゃスムーズだし、値段もぼちぼち安い。とりあえずDIYだとこれ一択だと思っている。
レールの取り付けは個人的に楽しくてけっこう好きだし、スムーズに入ると気持ちがいい。
設計図は必須
スライドレールの取り付けには設計図を作ることが必須になると思う。それぞれの寸法をその場その場で考えながら作るのは失敗する可能性も高いしオススメしない。
あらかじめ設計図を作成してその都度確認しながら作業をすることになる。
まず、だいたいの位置にレールを置いてみて、なんとなく完成をイメージしてみる。
ちなみにレールを取り付けるのは原則として、枠を組み立てる前にしたほうが取り付けしやすいので、特に理由がなければ組み立てる前にレールを取り付けておく。
レールを引き出した所にあるグレーのプラスチックのPUSHと書かれている部分を押すと、レールを枠側と引き出し側にわけることができる。
レールを取り付ける段階では、それぞれ分けて取り付ける必要があるのでとりあえず分けておく。
レールを外すとビスを止めるための穴がいくつかあるので、図面通りに墨付けした線にその穴の中心を合わせるようにレールを置く。
後はレールをビスで止めていく。
これを繰り返して必要なレールをすべて取り付けていく。
レールがついたらあとはビスケットとボンドで箱を組み立てていく。これで外枠はできた。
引き出しの作成
枠ができたら次は引き出しを作っていく。引き出し作りもなかなか楽しいんだよなー。
ざっくりとした流れを書いているけれど、別記事で詳しく引き出しの設計や作り方の記事を書くつもりだ。
使う材料はホームセンターで買った桐集成材を使う。
僕はだいたい引き出しを作る時は、桐集成材かファルカタ集成材を使う。タンスとかの引き出しといえば「桐」っていうイメージがあるし、ファルカタ材は触った感じも桐にかなり近い感じがする。
特に服を入れる引き出しを作る時は桐集成材がベストだと思っている。
引き出しを作る時はいつも「片胴付き追い入れ接ぎ」という方法をとることが多い。こんなやつだ↓
トリマーがあればそんなに難しくないけど見た感じ良い感じになるし、まったくDIYとかをしない素人から見ると「えっ、スゴない?」と言ってもらえるコスパの良い方法だと思ってる。難しくないのに。
設計図をもとに必要なサイズを切り出したら、トリマーで加工していく。
トリマーで加工が終われば、あとはボンドを塗って組み立てていく。
組み立て時にはクランプをかけることで木材同士が密着し強度が増すのでクランプは必須だ。クランプをかけるとボンドがはみ出てくるのでできるだけ綺麗に拭き取っておく。
僕は600mmのトラスコのユニクランプと900mmのSK11のクイックバークランプをメインに使っている。
ユニクランプはめちゃくちゃ使いやすいので、金があるなら大きいのもすべてユニレルクランプで揃えたい(しかしそんな金はない)と思ってる。
SK11 怪力クイックバークランプ900mm - amazon
これで引き出しは完成した。
完成した引き出し側にもレールを取り付ける必要があるので、さっさとレールを取り付けていく。
枠と同じように、まずは墨付けをしていく。
引き出し側はだいたいシンワの1000mmの物指しをあてて、物差しの高さで墨を引くことが多い。
引き出しが複数個あっても一定の幅で統一した墨が引けるので、わざわざ何mmとか一つ一つ測る必要がないから効率が良いと思っている。僕が使ってる物差しは高さが確か45mmだったかな?
そしたら引いた墨線とレールの中心を合わせて、ビスで留めていく。
引き出しができたら枠にはめてみてちゃんとハマるかどうかを確認する。
基本的に設計通りにできていれば、多少の誤差は吸収してくれる気がする。多少入りにくくてもガッと押し込めば次からはスムーズに動いてくれることがほとんど。
どうしても入らなければ修正する必要がある。引き出しが大きければトリマーで少し削る必要があるし、引き出しが小さければレールをビスで留めるときに両面テープとかを数枚貼って調節したりする。
前板がついていないのでカッコ悪いけど、これでとりあえず引き出しの形にはなった。引き出しとしての機能はこれで完成だ。
前板の作成
とりあえず引き出しの機能をもった箱ができたので、次は見栄えを良くするための加工をしていく。
前板はラワンランバーコアにシナの突板を貼ることにした。無垢板なんかでつくると目ん玉飛び出すような値段になるからな。
突板を利用することで随分安くすることができる。(でも決して安くはなくてぶっちゃけけっこう高いな、と思っている)
まずはラワンランバーコアを設計通りのサイズに切り出していくけど、後から突板を貼るのでこの突板の厚さを考慮したサイズをカットする。
具体的には僕がいつも使っている突板は0.5mmなので、左右両方に貼る場合は1mm小さく板をカットする。
突板はいつも突板屋GIFUでネットショッピングで買っている。買っているのはイージータイプが使いやすそうでいつもこれを使っている。
簡易的な丸鋸ガイドで墨線どおりにカットする。めちゃくちゃ簡単に作ったガイドだけど結構役に立つ。
枚数分の前板をカットできた。
ラワンランバーコア丸出しなんで見た目がアレだけど、突板をはればまるで無垢材になる。突板は薄いけどなんといっても無垢材なんだから!
突板の貼り方はこっちの記事でめちゃくちゃ解説しているのでぜひみて欲しい。
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突板の貼り方-まるで無垢材!-
2024/3/5
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ラワンランバーはやっぱりカットした木端や木口の積層部分(というか芯材部分というか)が目立つ。ベニヤ板とかはあえて木端や木口の積層部分を見せておしゃれ感をだしている場合もあるけど、ラワンランバーの木端等はどうしてもおしゃれには見えない(個人的な感想
しかし突板を貼ることで随分とマシになる。
やっぱりどうみても木端丸出しより突板を貼った方がかっこいい。
突板を張り終わるとこんな感じになる。
どや!かなりマシになったやろ。めちゃくちゃ見た目が良くなったと思う。
ついでに枠側の木端もラワンランバー感がすごいので、気になるならこの部分に突板を貼っておくと見栄えが段違いに良くなる。
角は留になるようにカットした。
木端や木口に突板を貼るなら木口テープを使うのも楽で良い気がする(使ったことないけど)。
プリントしたものじゃなくてちゃんと突き板がテープになっているものを選ぼう。アマゾンで売ってた。
前板の手がけ
この前板を取り付けただけでは、指をひっかける所がないので引き出しとして使うことができないので、手がけを掘ることにする。
引き出しにするには、取っ手をつけるか手がけを掘る必要がある。
簡単なのは取っ手を購入してつけることだと思うけど、今回は見た目をシンプルにしたかったので手がけを掘ることにした。
デザインは統一感を出したかったので前に作った吊り戸棚の手がけと同じにした。
前板すべてに同じ手がけを掘る必要があるので、こんな時みたいに同じもを量産する場合は型を使うのが一番良い。ってことでJWCADで作図して印刷した紙をMDF合板に貼りつけて、そのとおりに切り出して簡単な型を作った。ちなみにこういう時は貼り付けるのにスプレーのりを使っている。ちょっと高いけどめちゃくちゃ使いやすい。
この型を前板のセンターにこんな感じでセットする。
あとはこの型にそってトリマーのテンプレートビット(ベアリング付きストレートビット)で掘り込んでいくだけだ。
こんな時にめちゃ使えるビットが大日商のテンプレートビットだ。
もっと安いビットもあるしそれでも十分だけど、大日商のビットを初めて使った時の切れ味にはまじで感動した。それ以降から大日商のファンになってしまった。
今回も大日商のビットを使って型に倣って掘り込んでいく。
ビットのベアリングを型に沿わせるように走らせるだけで型通りにカットすることができる。
型を外すとこんな感じ。
…完璧ですやん。
ただこの状態だと指がひっかからないので、引き出しを前に出すことができない。
ってことで指を引っ掛ける部分を彫っていくわけだけど、アマゾンでこんなビットを買った。
このビットを使って横側から彫っていって、指を引っ掛けるところを彫っていく。
ちなみにこのビットの軸径は6.35mmなので注意。トリマーで使うためには6.35mmのコレットコーンが必要になる。
6.35mm軸のビットが使えるとトリマーの活用範囲がガッと広がるので6.35mmコレットコーンは持っていて損はない。
しかしこのビット外周がデカすぎてトリマーベースの円部分を通らなかったので、一度ベースを外してビットを取り付けた上で、またベースを取り付けるという非常にめんどくさい手順でビットを装着した。
んでこれに即席のストレートガイドをつけて…
これで先ほど掘った手がけの横側から指かけ部分を掘ると
見えにくいけどこんな風に掘れる。ビットの出を調整して2回ぐらい掘ると十分指をかけることができる幅を掘ることができた。
ちなみに一番下の段の前板は指かけ部分だけを掘る形にした。
次に手がけの部分が合板丸出しなのでそれを隠すように突板を貼る。
手がけを彫った型を使って突板をその形に切り出す。突板に型を合わせてシャーペンでなぞった線にそってハサミでカットする。
微調整は紙やすりとかですればよいと思う。
これに両面テープを貼り付けて…
手がけを彫った部分に貼り付ければ良い感じになる。
突板を貼っていない下2つと比べると違いがすごくわかると思う。やっぱ貼った方が良いやんな。
これで前板4枚が完成した。並べるとこんな感じ。やっぱり突板を貼った方がめちゃくちゃ良くなるな。
前板の取り付け
できた前板を取り付けていく。少しコツがあるので紹介していく。前板をつけたら一気に完成や!
まずは引き出しに両面テープを貼って仮固定できるようにする。
これに前板を貼り付けて、引き出しを出して裏側のから引き出し後とビスで固定すればOKだ。
2枚目の前板の取り付けから少し工夫していく。
引き出しの前板の隙間がバラバラよりもすべて統一されている方が当然見栄えが良いけど、その隙間を物差しで測りながら正確に取り付けるのは不可能。
なので一定の厚さのものを使って取り付けていくのが簡単で効率が良い。
僕は余っていた突板の端材を4枚重ねたものを使った。使っている突板は1枚の厚さが0.5mmなので4枚で2mmになる。
ホームセンターとかで売っている2mm厚の板とかでも全然かまわない。
この2mm厚の板を挟みながら2枚目以降の前板を取り付けていく。
もちろん一枚目と同じで最初に両面テープで仮固定できるようにしておく。
これですべて統一された隙間の引き出しを作ることができる。ちなみに僕は隙間は2mmにすることが多い。
2mmがなんかちょうど良い感じがするし、僕がいつも見ているブログも2mmだった。
で、すべての前板を取り付けると完成だ。
前板を全てアウトセットにした枠がまったく見えないので、ちょっとのっぺりした印象になった。
ちなみに引き出すとこんな感じ。
枠の周りは突板を貼っていないのでラワンランバーコア丸出しだけど、この周りは見えなくなるので全然問題ない。
さっそく家のキッチンに設置してみる。
めちゃくちゃ良い感じや。
見た目もシンプルで良いし、収納力もあってなかなか良い出来じゃないかなと思う。
スライドレールを使ってるから引き出しもスムーズだし、使っていて全然不満はない。
自分の好きなサイズと素材で作れるのはやっぱり良い。そして既製品より安く作ることができたので満足している。
このサイズだと作るのはなかなか大変だけど、もっと小さいサイズの引き出しなら挑戦してみると面白いかもしれない。
今回は作った引き出しの紹介記事だったけど、もっと詳しく引き出しの作り方をまとめた記事も書いてみるつもりなので、出来たらまたぜひみて欲しい。