自宅を新築中だけど、予算削減のためにキッチンのバックにつける吊り戸棚を減らした。
でも吊り戸棚はあった方が何かと便利だと思ったので、設計担当の方におそるおそる「自分で吊り戸棚とか作ったら設置してもらえます?」ってイキった感じのことを聞いてみたら、「あっはい、大丈夫ですよ」って感じの軽い返事でOKをくれたので自分で作ってみることにした。
大きなサイズのモノを作るのは初めてだったし、自分で作ってみるといろいろ気づきがあったりとなんかDIYスキルが上がった気がする。
でも仕事が休みの日に子どもと遊びつつのDIYだったので、めちゃくちゃ時間がかかってしまった。ブログもほったらかしだ。
あと結局材料費にぼちぼちお金がかかったので、予算削減にはあまり貢献できていない(怒
DIYはお金がかかる...お金ほしい
設計
まずは設計から始めた。
設計を手書きでするのも良いんだけど、できればCADで設計することをオススメする。
縮尺が正確なので全体のバランスの感じを掴むにはやっぱりCADが良い。あとはバランスを見つつ修正も簡単にできる。DIYにもCADは必須だと思う。ちなみに僕は無料のJWCADを使っている。(3DCADの勉強はお休み中)
今回はサイズを「巾1800 高さ350 奥行355」の吊り戸棚とした。
高さはあまり高くない方がバランスよく見えたので高さを抑えめに設計した。あとから思えばもう少しだけ奥行きを短くしてもよかったと思っている。
巾はほんとは2700を作りたかったんだけど、僕のレベルでは1800が限界だと思ったので1800に落ち着いた。
戸は引き戸が好きなので引き戸にして、引き戸部分の寸法はネットでいろいろ調べてこんな感じにした。
愛読しているブログ「終末DIY」をおおいに参考にしている。感謝。
設計のサイズについてはDIYをしていると気づくと思うけど、材料に無駄なく効率よく木取りするためにはある程度は決まったサイズになってくる。
お金があまりないDIYerにとって材料が無駄になるのは切実な問題だ(お金がほしい)
大きな面があるモノを作る時はサブロク板(1820×910)を使うので、サイズは300、450あたりならサブロク板から効率よく取れるけど、中途半端な500とか聞くと頭の奥で耳鳴りしか聞こえへんようになってくる。
木取りのこともそのうち記事にしたいと思っている。
材料の準備
今回の吊り戸棚で使ったメインの材料は以下のものたち。
メインで使う材料はラワンランバーコアにした。
ほんとはシナランバーコアを使いたかったけど、いつも行っているホームセンターにそんなものは無い(怒
ラワンランバーコアの厚さは18mmにして、外面にはシナ突板を貼ることにした。
DIYで広い面を作るときにラワンランバーコアはめっちゃ役にたつ。
金額も安く抑えることができるし、重量も軽く作ることができる。
広い面を無垢板で作るとなると、それこそ金額の桁が変わってくるんちゃうかな。
突板はいつもネットショップの「ツキ板屋GIFU」で買っている。突板を貼るボンドも併せて買った。突板は思っているよりけっこう高い。もう少し安いと助かるんやけど。
引き戸のレール部分はランバーコア材だとレールを掘ったときに芯材が露出し具合が悪いので、レール部分にはシナ無垢板を使うことにした。
あとは木端部分にはちょっと違う材料を使った方がオシャレかなって思って、バーチ(カバザクラ)を使った。バーチは優しげな雰囲気でおすすめ。
無垢材については、木材のネットカット販売の雄「マルトクショップ」で購入した。
だいたいの材料はこんなもんかな。
仕切り板の加工
まずは簡単そうで楽しそうな仕切り板の加工から始めた。
棚板の高さを変更できるようにケルダボっていうのを使っていく。(ケルダボっていう名前は初めて知った)
ケルダボのサイズは8mmにしてアマゾンで注文。
ダボは左右の棚板で同じ高さにする必要があるので、全ての板を同じように加工できるようにこんなジグを作ってみた。
ダボの穴を開ける位置をJWCADで作成して印刷。印刷した紙をそのままスプレーのりでベニヤに貼って、インパクトドライバーでダボ位置に穴を開けた。
仕切り板の前と下のラインを基準線とするために、そのラインに合わせてベニヤを貼り付けたもの。
このジグの基準線に貼ったベニヤに合わせて仕切り板をセットし、インパクトで穴を開けると全ての仕切り板の同じところに穴を開けることができる。
ジグに仕切り板をセットするとこんな感じ。ジグの穴のところをインパクトドライバーで穴あけする。
こんな感じに穴を開けることができた。
あとはケルダボを埋め込んでいく。インパクトでケルダボのサイズより-1mmの穴を開けて、ケルダボをセット。
当て木をしてハンマーで叩くとケルダボの設置は終了。なかなか楽しい作業だった。
今思えば、このタイミングでのケルダボの埋め込みは明らかに失敗やと思う…。
他の作業をするときにケルダボが他の材料に傷をつけたりもするし、ケルダボの埋め込みは最終段階でするべきかな。
板のはぎ合わせ
今回は戸を引き戸にする予定なので、外側の枠になる板のレール部分はラワンランバーコアのままでは具合が悪いので無垢のシナ板を使う。
シナ板は55mmのものをマルトクショップで注文した。
このシナ無垢板をラワンランバーコアにはぎ合わせする。
マルトクショップでは23mm厚で買うのが一番安く買う方法だ。
詳しくはこの記事を見てほしい。
今回も安く済ませるために23mm厚でシナ板を注文したので、まず厚さをラワンランバーコアの厚さと同じにする。
自動カンナで厚さを調整する。1800の長さがあるのでローラーを使って安定させつつ幅を薄くしていく。
サポートローラーは何かと役にたつ。スライドマルノコで長尺をカットする時にも活躍するので、ある程度本格的にDIYするなら持っていて損はない。
厚さがほぼラワンランバーと同じ厚さになった。
木材の厚さを測ったりするのにはデジタルノギスがあるとめっちゃ便利。100分の1mmまで計測できるのでけっこう出番が多い。僕はグレートツールのデジタルノギスを使っている。めちゃくちゃ活躍している。
はぎ合わせには、ジョイントカッターを使う。ジョイントカッターはマキタのものを使っている。ジョイントカッター結構高いけど箱物を作るときにあるとめっちゃ便利。
最初はワンバイ材をはぎ合わせしたくてジョイントカッターを買ったけど、今は箱物を作るときに使うことが多い気がする。
ジョイントカッターで穴を開けたら
ボンドとビスケットではぎ合わせていく。
はぎ合わせたらクランプで固定する。
クランプはいろいろなタイプがあるけど、このパラレルクランプってのがめちゃくちゃ良い。最近はほぼパラレルクランプしか使ってない。好き。
僕はトラスコの600mmのパラレルクランプを4本あるけどもっと増やしたいと思ってる。(トラスコのはユニクランプというらしい)ベッセイとかも使ってみたい。でも高い。1000mmのパラレルクランプが欲しい。。。
同じように左右の外枠のラワンランバーコアにもシナ無垢板をはぎ合わせていく。
左右の板は上下の部分をホゾっぽくしたいので長さを残している。
レールの加工
上下板には引き戸のレールを作る必要があるので、レール用の溝を掘っていく。
レールの幅は14mmとしたのでトリマーで一発で掘れるように刃径14mmのビットを買った。
なかなか刃径14mmのビットって売ってないけど、ビットモットなら細かいサイズのビットが販売されているのでちょっと高いけどビットモットで買った。
高いだけあって切れ味はエグい。やっぱ安物とは違う。
トリマーにストレートガイドを装着し、深さ3mmずつぐらいでレールを掘っていく。
下板のレールは深さ3mmにして、上板のレールは深さ10mmまで掘った。
…これも今思えば、これも先にレールを掘ったのは失敗だったなーって思う。
基本的にいつでもできるような簡単な作業は後からの方が良いのかもしれない。
この後、縦板を固定するためにホゾを掘るんだけど、レールを先に掘っているとホゾ穴の加工がちょっとやりにくかった。
ホゾ加工
左右の縦板と仕切り板と上下板のレールとの交差部分は、納まりの関係でホゾ加工をしていく。
やっぱり収まりはキレイにしたほうが気持ち良いしクオリティが高くなる気がするし。
最終的にはこんな感じの収まりになる。
まず縦板のシナ無垢板部分をホゾのオス側の加工をしていく。
まずはホゾ(オス)の深さを必要な長さになるようにカット。丸ノコでもなんでもいいけど、スライド丸ノコがあると便利。
基本的にホゾの加工もトリマーを駆使してやるスタイル。
ちょっと高いけど大日商のこのベアリング付きビットがあるとめっちゃ良い。
このビットはめちゃくちゃ良い。めっちゃ使える。めっちゃ切れるし。やっぱ大日商は大正義ですわ。
トリマー使いにはぜひ買ってもらいたい。
大日商-コーナービット刃径10mmガイドベアリング付き(amazon)
そのうち大日商のこのビットのための記事を書こうと思っている。それぐらいいろんなことに使える。
トリマーでホゾを作るためベニヤ板と端材でこんな簡単なこんなジグを作ってみた。
ビットの出具合を調整したあと
ジグをこんな感じにクランプで固定して、大日商のベアリング付ビットで削っていく。
ジグの直線部分にビットのベアリングを沿わせながらこんな感じに削る。
これを別の面でも同じように繰り返して削ってオス側のホゾを作った。
次はホゾのメス側の加工をしていくんだけど、写真を撮り忘れてあまりありませんでした!
ただこれもトリマーを駆使して作っていくけど、どうしても手ノミで加工しなければならないところがある。
まずはホゾを掘るための墨を入れたあと、さっきのジグを使って大日商のベアリング付ビットで穴を掘っていく。
ビットで掘るので当たり前だけどどうしても角が出ずに丸くなるので、この丸くなったところを手ノミで角を作っていってこんな感じになった。
ここまでくるとあとはオス側と合わせながら手ノミで微調整を地道に繰り返してオスメスを合わせていった。
ちょっと隙間もあるけどこんなもんかな。DIYやし。ちっちゃいことは気にすんな。
とりあえずこれでホゾは完成。
ビスケット加工
箱型に組むんやけど手軽にビスケットで組むことにした。
今思えばトリマーでホゾみたいな溝を掘ったほうがキレイに組み上がりなりそうな気もするけど、やっぱりビスケットは楽にできる。でも自分のスキルは上がらない。悲しい。
こんな感じでマキタのジョイントカッターを使ってビスケットを嵌める穴を掘っていく。
ビスケットを嵌めるとこんな感じ。
ジョイントカッターでビスケット用の穴を全体的に開けるとこんな感じ。
中板の木端隠し
木端の部分はそのままだとラワンランバーコアの断面が見えてしまうので、薄板を貼って隠す。
貼る板はバーチを貼ることにした。カバザクラとも呼ばれる木材で桜っぽい優しい雰囲気がけっこう好きな木材。
これもマルトクショップ買った。
これも節約のために暑さ23mmで買ったので、まずはテーブルソーで半分に割る!
そのあと自動カンナで厚さを4.5mmほどにする。
作ったバーチの薄板をこんな感じで貼り合わせる。
貼ったあとに長い部分をカットしてサンドペーパーで整えるとこんな感じに仕上がった。けっこううまくいったので満足。
これでラワンランバーの断面を隠すことができた。
内側の塗装
いつもは最後に塗装をするんやけど、いつも内側が塗りにくいなーって思ってたし今回は内側だけ先に塗ることにした。
いつもは突板でもオイルを使っているけど、今回はキッチンで使う予定で湯気などの湿気も多いと思ってウレタンで塗装することにした。
よく使うのはワシンの「水性ウレタンニス」
近くのホームセンターで買うよりAmazonで買った方が圧倒的に安かった。
水性だから臭いも少ないし、水で薄めることもできる。乾燥したらモチロン水を弾く。
今回は2度塗りするつもり。もっと塗り重ねた方が良いのかもしれないけど、自然な感じもほしいし2度塗りで終わらすつもり。
いつも8%ぐらいの水で薄めてハケで薄く塗っている。
一度塗ったあとは乾燥させて400番のサンドペーパーをかけて、2回目を塗る。
塗ったあとがこれ。
黄色いのはマスキングテープで、ボンドを塗る箇所にはウレタンニスがつかないようにするために貼っている。
この黄色いマスキングテープは粘着力がけっこう高いのであまり好きじゃない。
カモイの青いマスキングテープが粘着力があまり強くなくてけっこう好き。
組み立て
ここまできたら組み立てや!
ボンドを塗ってビスケットを使って組み立てる!クランプが足らへんので漬物石の重さで固定しようと試みた。(意味があるかはわからない)
ボンドはタイトボンド3を使ったけど、固まる時間が早すぎて焦った。こういう大きいものはコニシの白ボンドの方が落ち着いて作業ができて良いのかもしれない。
あとタイトボンドはしゃばすぎて垂れてくる。白ボンドは垂れなくて便利。
ちゃんと直角になってるか確認しながら組み立てていく。
直角が少しずれている場合はクランプを少し斜めにかけたりすると直角になったりする。
ボンドが固まってクランプを外すとこんな感じ。
まあまあうまくいったか…?
突板を貼る
組み立て終わったので次は外側に突板を貼っていく。
突板は突板屋GIFUで買ったシナの突板を貼っていく。ボンドもGIFUさんで一緒に買ったアイロン用ボンドを使う。
使った突板はイージータイプだ。使いやすくてこれしか使ってない。
ボンドを垂らしてローラーで伸ばしていく。これを繰り返してボンドを全面に塗り広げる。もちろん突板の方にもアイロン用ボンドを塗り広げる。
塗ったあとはボンド半乾きになるまで待って重ね合わせてアイロンで貼り合わせていく。
一つの面を貼ったらこんな感じになった。
けっこうすごいやん。こんな感じで全面に貼るとこんな良い感じになる。
まるで無垢材!
突板の貼り方はこっちの記事で詳しく解説しているので見てくれると嬉しい。
木端隠し
突板を貼った本体の木端の断面を隠すために薄板を貼っていく。
もちろんさっきの中板と同じバーチの薄板を貼る。
角の突き合わせる部分は、45度同士でくっつける留加工とした。
45度から少しだけでもずれると隙間ができてしまうので、隙間なく45度でくっつけるのは思った以上に難しい。
僕が使っているハイコーキのDIY用スライド丸ノコでもほぼほぼ45°がでるけど、ディスクサンダーがあると微調整が効くので加工はかなり楽になる。
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僕はYouTubeで絶賛されていたプロクソンのディスクサンダーを前に買ったのでこれを使って加工した。
けっこう高いけどプロクソンのディスクサンダーはあるとめちゃくちゃ便利。留加工以外にも木口の微調整やら外側のR加工とかで活躍する。繊細な加工には必須で個人的には手放せない存在。
なぜかアマゾンだとめちゃくちゃ高いので楽天とかで買った方が良いと思う。
これで吊り戸棚の本体部分は完成したぞ!
引き戸の作成
次は引き戸を作っていく。
引き戸の材料も本体と同じくラワンランバーコアに突板を貼ることとした。
まず戸のレールにハマる部分がランバーコアのままだと微妙かも、って思ったので適当に厚さ12mmの棒を貼った。
戸の幅より少しだけ長い棒を貼って、はみ出した分はカンナで削っていった。
戸を板の上に乗せて少し浮かせた状態でカンナを垂直にあてていく…
これがカンナで削ると、
こんな感じになる。
戸の上下の部分に棒を貼ったら、戸全体にシナ突板を貼る。いっきに戸っぽくなった。(写真撮ってなかった)
次に戸の手がけ部分を作る。手がけはいろいろ考えたけど、シンプルにトリマーで掘ることにした。
戸は4枚作るけど、すべて同じようにする必要がある。こんな時は型を作るとすべて同じように加工できる。トリマーすごい。
なんかいきなり破れまくってるけど気にしないで欲しい。この型に沿うようにベアリング付きビットで掘っていく。
ここでも活躍したのはさっきのホゾ作りでも大活躍した大日商のトリマービット。
大日商のこのトリマービットちょっと高いけど、めちゃくちゃ使える。もう手放せない。好き。
大日商のトリマービットを使って、少しずつ掘りすすめていく。
無垢の板だと削っても見栄えが良いんやけど、ランバーコアだと中がファルカタなので微妙な見た目になる。隠すためにここにも突板を貼ろうと思う。
・・・掘っているとちょうどラワンランバーコアの繋ぎ目のところにあたったらしく、少しかけてしまった。まあどうせ突板を貼るので問題なし!
さっきと同じ型を使って突板に鉛筆でなぞってカットしたあと、両面テープで貼った。
この飛び出した部分をカンナで削っていく
最後に棒巻きペーパーで整えるとこんな感じにうまくおさまった。
あとは戸の両端にもバーチの薄板を貼り付ける
あとはこの飛び出した部分をカットして水性ウレタンニスで塗装すれば引き戸が完成や!
設置
吊り戸棚が完成したので大工さんにお願いして、キッチンの後ろの壁に設置してもらった。
以前にお願いしてたからあらかじめ下地を入れてくれていた。圧倒的感謝・・・!
めちゃくちゃ時間はかかったけど、自分のスキルも上がった気がするし大物は達成感も半端ない。
大工さんたちも「大したもんや!」って言ってくれたし、やっぱ褒められるとうれしい。
次はキッチンのカップボードの引き出しを作るで。
家が完成し、左官壁を塗ってもらったあとはさらに良い感じに仕上がった…!
めちゃくちゃええ感じやん…!満足感はんぱない。